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免疫力が高いと病気に対する抵抗力も高い.

免疫力とは、体に侵入してきた細菌・ウイルスなどの敵に抵抗する力のことで、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすい人は、病気全般に対する抵抗力が弱いことが多い。逆に、病気にかかりにくい人は抵抗力が高いため、健康な状態でいられます。

免疫力は生活習慣と密接に関係.

免疫力はもともとの要因もありますが、生活習慣によって強くも弱くもなります。中でも正しい食習慣は重要です。さらに、腸内環境を整える発酵食品や抵抗力をつける抗酸化食品が効果的です。また、ポリフェノールなどの生理機能成分の中に免疫力に貢献してくれるものもあります。そうした食習慣は年齢を問わず心がけることが大切です。特に成長途中の子供にとっては重要となります。

免疫力を発揮する体の器官。

免疫力をアップさせる2つのルール。

抗酸化作用のある成分。

エネルギー代謝によって生まれた活性酸素が、病気など体に様々な害をもたらします。体内には活性酸素に対応するシステムがあり、そうした抗酸化成分の代表的なものが酵素のSODなどです。ただ、酵素は体内でつくられますが、それだけでは活性酸素を除去できないので、以下のような抗酸化物質を食品から摂る必要があります。

 

生理機能成分(健康維持や増進に成分に有効な成分)

・植物が自分を守るためにつくる栄養素

生理機能成分とは、タンパク質や脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどの必須栄養素以外で、健康に良いとされている栄養成分のことです。ポリフェノールやカロテンなどが有名。

植物自身が紫外線などの有害な物質から身を守るためにつくり出す物質で野菜、果物、大豆類などに多く含まれています。

 

健康を増進し病気を予防する。

生理機能成分の正体は色素や香り、アクの成分などの化学物質です。数千種類以上あり、一つの野菜や果物にも複数存在。健康効果は確認されているものの、必須栄養素のように、一日の摂取基準は明らかになっていません。

その働きは多岐にわたりますが、主に抗酸化や免疫力の向上、体内浄化といった作用があります。積極的に摂取することによって、生活習慣病などの病気を予防できる可能性が高くなります。

※どれか一つ摂るより、様々な種類を組み合わせた方が効果的です。

 

ポリフェノール

◇特徴◇

・数多くの種類があり、生理機能成分の代表格。

植物の色素や苦みに含まれている物質で、植物光合成でつくる糖分の一部が変化したもの。

複数の水酸基(OH基)という化学構造を複数もつ化合物の総称。

 

◇働き◇

・強力な抗酸化作用を発揮する成分。

ポリフェノールのOH基は老化の原因である活性酸素などの有害物質をとらえ、無害な物質の変える作用があります。

抗酸化力の高い栄養素としてビタミンC・Eなどがありますが、ポリフェノールの抗酸化作用も、それらと肩を並べるくらい強力です。

ポリフェノールは抗酸化作用だけでなく、種類によってそれぞれ独自の機能があり、例えば、ブルーベリーのアントシアニンという色素成分は、目の網膜にあるロドプシンという物質の再合成を促し、視力を回復させる働きが知られています。

◇多く含む食品◇

・色が濃く、渋みが強いものほど豊富。

ポリフェノールはほとんどの植物に存在しており、種類も多岐にわたっています。赤ワインに含まれていることが有名ですが、そのほか、ブルーベリーやお茶、カカオなどの色が濃い、または渋みが強いものに豊富。

ポリフェノールの種類と働き。

カロテノイド(植物や動物に含まれる抗酸化成分。目や皮膚の健康を守ります。)

◇特徴◇

・赤・黄色などの色素成分。

野菜や果物をはじめ、動物性食品にも含まれている、赤やオレンジ、黄色などの色素成分をカロテノイドといいます。

カロテノイドはアルコールに溶けるカロテン類と、アルコールに溶けないキサントフィル類に分類されます。カロテン類はリコピンなど一部を除いた以外は、体内に入ると必要に応じビタミンAに変換されます。

 

◇働き◇

・活性酸素のダメージから体を守る。

紫外線は活性酸素を生み出すもとになり、私たちの体を錆びつかせますが、植物も常に紫外線にさらされています。活性酸素から身を守るために植物が体内に備えているのが、カロテノイドです。

カロテノイドは人間にも有効に働き、活性酸素からダメージを予防してくれます。そのため、癌や生活習慣予防に効果的です。一種類だけを摂るよりも、複数組み合わせて摂取した方が効果的と考えられています。

 

◇多く含む食品◇

・赤や黄色、橙色をした動植物に存在。

植物性食品では、ニンジン・ほうれん草・かぼちゃといった緑黄色野菜やトウモロコシなど。動物性食品では海老・カニ・サケ・卵黄などがあります。

 

■主なカロテノイドの種類と働き。

イオウ化合物(強い臭いが殺菌作用や血液サラサラ効果を生みます。)

・強い激臭が健康効果のもと。

◇特徴◇

イオウを含む化合物の総称で、アリシン、アホエンなどがあります。

ニンニクやネギを切ると、ツンとした刺激臭を感じますが、そのにおい成分がイオウ化合物の正体。

◇働き◇

・ニンニクの抗ガン効果はトップクラス

強い抗酸化作用があり、発がん物質の毒性を消す解毒酵素を活性化させ、癌を予防します。そのほかにも、血栓を溶かし血液の循環を促す働きたいがあります。また、強い抗菌効果もあり、生の物を食べるときに葱やニンニクを薬味として使うのは、おいしさのためだけでなく、その効果を利用しています。

ニンニクなどに含まれるアリインいう成分は、酵素の働きによってアリシンに変わります。糖代謝を促す重要な補酵素としてビタミンB1がありますが、アリシンはビタミンB1と結合して体内に長くとどまり、効果を持続させます。この働きによりビタミンB1利用効果率を高め、疲労回復を助けてくれます。

◇多く含む食品◇

・ニンニクなど香りの強い野菜類

ニンニクはイオウ化合物を豊富に含む代表的な食材。そのほか、玉葱などのユリ科の野菜や、大根やワサビなどアブラナ科などの野菜があげられます。

■主なイオウ化合物の種類と働き

オリゴ糖(腸内の有用菌を増して腸内環境を整え、便秘を改善)

◇特徴◇

・消化されずに大腸まで到達

オリゴ糖は、ブドウ糖や果糖などの単糖類が2~20個結合したものです。様々な種類があり、なかには消化酵素で分解されないものも。そのような消化吸収されずに大腸までに達するオリゴ糖には、フラクトオリゴ糖などがあります。

◇働き◇

・ビフィズス菌のエサになり腸内環境を改善

小腸で吸収されなかったオリゴ糖は、大腸に届くとビフィズス菌などの腸内善玉菌の栄養源となります。また、この時に有機酸がつくられ、腸内環境が発がん物質をつくる悪玉菌が住みにくい酸性に。このためウェルッシュ菌など悪玉菌が減り、腸内の健康が保たれます。腸の蠕動運動を刺激するために、便秘解消にも効果的。ただし、摂りすぎるとお腹が緩くなることがあります。

◇多く含む食品◇

・お腹の調子を整えトクホ商品としても人気

整腸作用の有効性が認められ、特定保健用として認可されています。甘味料やシロップのほか、オリゴ糖入りのヨーグルトや飲料として販売されています。オリゴ糖は野菜や果糖、尿製品に含まれていますが、含有量はごくわずかで、市販されているのは工業的につくられたものです。

■主なオリゴ糖の種類と働き

糖アルコール(低カロリーの甘味料。虫歯用の効果が期待されています)

◇特徴◇

・糖を還元させできる化合物。

糖アルコールは糖を還元しできる化合物です。キノコや果物にごくわずか含まれていますが、私たちが普段口にするのは、工業的に生産されたものです。高温高圧化で糖類に水素を反応させ、水素を添加してつくります。下の表のように、原料となる糖質によってさまざまな種類があります。

◇働き◇

・消化されにくいため低カロリー

糖アルコールは消化されにくく、体内で吸収されたとしてもほとんどエネルギーとして使われず排泄されます。このため、血糖値を上昇させにくにで、高血糖の人の代替甘味料としても利用されています。また、カルシウム、マグネシウム、鉄など吸収率を上げる効果も長目されています。

砂糖など糖質とは違いキシリトールなどの糖アルコールは、虫歯菌の栄養源とならず、歯のエナメル質を溶かす酸がつくらません。また、唾液の分泌や再石灰化を促す作用があり、虫歯予防をする効果が期待できます。

◇多く含む食品◇

キシリトールなどは、特定保健用食品として認められています。虫歯の原因となる酸をつくらない甘味料としてガムなどの広く使われています。

 

■主な糖アルコールの種類と特徴

乳酸菌(腸内環境を改善し免疫力を高める)

・体内をはじめ自然に広く分布

オリゴ糖などなどの糖を発酵させて乳酸をつくる微生物を乳酸菌といい多くの種類があります。ビフィズス菌、LG21菌、ケフィアも乳酸菌の一種です。

乳酸菌は動物の体内など、自然界に広く分布しており、食品を発酵させる働きがあります。ヨーグルトやキムチ、ぬか漬けなどが発酵するときは乳酸菌が働き、独特の風味をつくりだします。

◇働き◇

・腸内環境を改善し免疫力アップ

乳酸菌は人の腸内にも存在しています。腸には有害物質をつくり体調を悪化させる悪玉菌もすみついていますが、乳酸菌を補うことにより悪玉菌を減らすことができます。

腸内で乳酸菌が増えると、腸が刺激され便通が改善されます。また、乳酸菌には免疫機能を向上させる働きもあり、病気に対する抵抗力を高められます。

◇多く含む食品◇

・独自の機能をもつ乳酸菌も発見されている

ヨーグルトやチーズ、味噌、醤油、ぬか漬けといった発酵食品に多く含まれています。最近ではBG21乳酸菌のように独自の機能をもつ乳酸菌の研究が盛んになり、それらを利用したヨーグルトや飲料などが発売されています。

 

■主な乳酸菌の種類と働き

その他の注目成分

・健康や美容に関心が高まりを見せる中、食事によって生活習慣病や老化を予防しようという意識が広まりつつあります。

食品には、これまで知られてきた栄養素のほかに、健康効果の高い様々な機能性成分が含まれており、その成分を積極的に摂ることが健康維持や病気予防につながることが分かり、機能性成分の研究が盛んに進められるようになってきました。