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暑い時期になると熱中症予防のため、水分を多く飲むように勧められます。

ところが、『水を飲み過ぎると「水中毒」により死亡する場合がある』とする記事が、毎年熱中症の時期に合わせて、よく出てきます。

■水中毒とは?
Na
が入っていない水をたくさん飲むと、血液中のNa濃度が薄くなります。
  

血液中のNa濃度

・正常値135145mEq/L
130mEq/L:軽度の疲労感

120mEq/L:頭痛、嘔吐、精神症状
110mEq/L:性格変化や痙攣、昏睡
100mEq/L:神経の伝達が阻害され呼吸困難などで死亡
  
特にNa110前半からは危険です。
昏睡や痙攣を起こした際、多量に飲んだ水を嘔吐して、肺に水が入り込んで溺水、いわゆる溺れ死ぬ状態になる場合もあるからです。

そもそも我々の血液中のNa濃度が極端に薄まるためには、相当量の水を飲まないとなりません。
一般的には水は11.52Lほど摂る事を勧められますが、水中毒の患者様(統合失調症・自閉症)は2Lどころではありません。
  
実は理論上は、1日に20L飲んでも腎臓から正常な排泄機能がされれば、Naを含めた電解質は正常に保たれます。人間の腎臓の最大利尿速度は、毎分16mlとされています。
つまり、水中毒の患者様は、1日中水を毎日飲み続けているか、短時間に相当量の水を飲んでいると思われます。

 

我々は、ある程度水分を摂ると、それ以上は飲みたくないと思う時がきます。

例えば、最初は美味しいと思っても、ずっと食べ続けていると、そのうち食べたくなくなりますよね。これは高度な認知症の人でも、同じ反応を示します。私たちの脳が、勝手に抑制してくれます。
  
ちなみにこの反応は一種の「別腹」、正式には「感覚特異性満腹(感)」と言います。
  

ところが、統合失調症や自閉症などの持病を持っている患者様では、この抑制が利かない場合があります。
つまり水中毒を発症する人は、特別な持病を持っている人なのです。
  
統合失調症の患者の約2割に水中毒を合併すると言われています。
薬の副作用で水中毒になる事もありますが、非常にまれです。

持病をお持ちでない方は、まず心配がないと思われます、決してそのような記事を見ても怖がらないでください。
怖がってしまうと、むしろ熱中症になってしまいます。

さて熱中症の時期に、よく水分と共に塩分をいっしょに摂るように勧められますが、これはどうなのでしょうか?


■熱中症の初期症状。

・めまい

・立ちくらみ

・吐き気

筋肉のケイレン

・体のだるさ
  

熱中症対策。
  

こちらは日本救急医学会から発信されているガイドラインです。

⇒ 『熱中症診療ガイドライン:日本救急医学会

これを読むと、熱中症予防に水分と共に塩分も摂取する事を勧めています。これだけでなく、他のサイトでも塩分も一緒に補給するように書かれています。

私は、国や専門家の発信するサイトをベースとしています。

ただし今回、私の考え方ですが・・・

先ほどの食塩水の濃度の話に戻ります。
熱中症症状で来院される患者さんは、水の成分が多く減っていて、食塩水の濃度は濃くなっています。食塩水を沸騰させても、塩は蒸発しませんよね。
  
つまり、血液検査をすると・・・
  

熱中症の患者さんでは、Na濃度は正常値か高Naです。

水中毒のように低Naの患者さんはまずおりません。
  

熱中症の患者さんは、純粋に水分摂取量が少なすぎるのです。

塩分に関しては、確かに汗から多少の塩分が出てきますが、日常の食事で摂っている塩分だけで十分です。
  
2015
41日より、厚生労働省は日本人のNa(食塩相当量)の目標量を男性8.0g/日未満、女性7.0g/日未満にきびしく変更しました。
ちなみにWHOは、世界中の人のNa摂取目標を15gと、日本人にとって更にきびしく設定しています。
  
2016
年の日本の成人1日あたりのNa平均摂取量は、男性で11.0g、女性で9.2gと発表されています。
摂取量は年々減ってはいるのですが、日本人は塩分摂取量が多過ぎます。
  
塩分があるに越したことはありませんが、塩分にはあまりこだわらず、のどが渇く前から水を中心にこまめに摂り続ける事が大切です。

特に外にいる時は、15分ごとにこまめに摂る必要があります。水は一度にたくさん吸収できませんから。ただし、岩塩などのようにマグネシウムを多く含む良質な塩は、熱中症とは無関係に重要です。
  
ただし、例外があります。
マラソンなどのように強度が高い運動や、長時間激しい運動をし続ける場合は、水といっしょに塩分も補給すべきです。
  
2002
年のボストンマラソンでは、水中毒による死亡者も出ています。

ただし、この方は塩分摂取量が多い日本人ではないので、もし日本人がこの人と全く同じ状況だったとしても、水中毒になったかはわかりませんが。 

■では、熱中症になった場合、どうすればいいの?

水風呂に入るのが手っ取り早いのですが、基本は涼しい所に移動し、首や腋の下など動脈が皮膚に近い所を中心に冷やします。

そして水分類の補給です。テレビなどでよく勧められるのがスポーツドリンクです。
スポーツドリンクに関しては、熱中症症状を起こした時以外は飲んでほしくありません。

スポーツドリンクには、砂糖と異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)が多量に入っています。そのため飲み過ぎると、空腹感がなくなり、必要とすべき食事が減ってしまいます。
そして、習慣化すると将来的に次のような症状が起きる可能性があります

・血糖値を大幅に変動させる事で、将来2型糖尿病になる可能性がある。
・異性化糖がAGEs(終末糖化産物)をブドウ糖の10倍も増やして、人間の60兆個の細胞を老化させ、様々な病気の原因を発症させる。
・ブドウ糖も果糖もビタミンB群を多量に浪費させるため、精神症状を発症し、低栄養症状なのに向精神薬が処方される可能性がある
・・・など。

ペットボトルなら、お茶かただの水のように、砂糖が入っていないものを選択する事をお勧めします。

甘いドリンク剤は習慣性が高くなると、将来生活習慣病の原因になります。
  

ちなみにこちらの論文(英文)では、「過剰な果糖(清涼飲料水、フルーツジュース、リンゴジュースなど)を週5回以上とる20代の若者は、関節炎になる確率が3倍高い」と報告されています。

 

熱中症を発症した際の一番のお勧めのドリンク剤は、経口補水液「OS-1」です


  

「OS-1」を販売しているメーカーの1つとして、大塚製薬があります。大塚製薬と言えば、有名なのは「ポカリスエット」です。
商品を売るだけなら、「ポカリスエット」だけでいいのですが、なぜ「OS-1」が売られているのでしょうか?。
  

それは「OS-1」の成分は、WHOが推奨する体内への水分吸収が早い組成を元に作られているからです。
熱中症を発症した場合は、「OS-1」が近くで売られていたら、2本飲んでみてください。それでも熱中症症状が改善しなければ、病院で点滴をしてもらう事をお勧めします。

■次に当てはまる場合、熱中症症状を起こしやすくなります。

①朝食抜き
②睡眠不足
③高齢者あるいは慢性的な持病がある人

  
朝食を抜いて、糖質・タンパク質摂取が不十分な状態では、水分をこまめに摂っているつもりでも熱中症になりやすいです。睡眠不足も同様です。
  
朝食を摂る事は、熱中症予防とは無関係に大切な事です。
朝、食欲がなく、パンやご飯だけの炭水化物だけで食事を終わらせてしまうようでしたら、プロテインやサプリで補給するのも仕方がありません。ですが、できるだけ食事から糖質とタンパク質を摂ってほしいと思います。

また高齢者や慢性的な持病がある人は、暑さに対する感受性が弱くなっています。
特に高齢者は冷房が嫌いという人も少なくありませんし、持病により水分制限を指導されている場合もあります。
周りの方が、気をつけてあげないとなりません。
  
熱中症予防の水分類の摂り方でも、色々と記事が出てきます。
あれこれ色々細かく書いているものもありますが、今も昔も大幅に変わったわけではありません。
  
とにかく塩分にこだわりすぎずに水分を、こまめに(できれば15分ごとに)摂る事が大切です。

また暑い時期は冷たい水を、他の季節に比べて多く飲みたくなります。これでは胃が疲れてしまいます。
そもそも冷たい水は、体温が36度ほどの私たち人間にとって、実は異物が入り込むようなものです。
  

暑い時期でも白湯、最低でも常温水で水分補給を心がけるようにしてください。

そのため、温熱療法(メディカル・ケア) めぐり では常温または温かいお飲み物しか提供しておりません。